第18回日本臨床麻酔学会抄録
(シンポジウム:「小児麻酔の現況」
シンポジウム「小児麻酔の現況」外来麻酔
神奈川県立こども医療センター麻酔科
広木公一
北米では60%以上を占める小児の外来手術も、本邦では保険制度や社会的環境の違いから普及しない。1992年の我々の指導病院へのアンケート調査(回答442施設)でも、実施は72施設(16.5%)に過ぎず、小児専門病院でも50%であった。当院で1982年4月から8床で運営を始めた「一日入院病棟」では、96年末までの14年間にのべ11610名が入院した。このうち手術は6000件余(年間約350〜400例)で、小児外科と耳鼻科がほとんどを占めた。小児外科4349名の95%が鼠径ヘルニア根治手術で、耳鼻科1555名の80%は鼓膜チュービング術であった。麻酔法は、時代および麻酔薬の変遷(halothaneからsevoflurane 、suxamethonium からvecuroniumへ)とともに変わっていた。鼠径ヘルニア根治手術では、マスク麻酔に術後鎮痛を考慮した伝達および局所浸潤麻酔も併用しているが、他の手術では術後鎮痛には鎮痛剤の坐薬で対応している。前投薬は原則として投与しないが、一部の患者にmidazolam経口剤を院内調整し投与している(0.3mg/kg)。退院不可は40名(0.6%)程度にあり、主原因は手術・発熱(全体の20%、特に乳児で40%以上)・嘔吐(特に年長児)である。嘔吐については予防的droperidol投与(0.025mg/kg)と、sevoflurane麻酔に変更以後は減少している。帰宅後再来院は一例のみで手術が要因であった。1992年に実施した親へのアンケート調査では、全体の96%が好印象であるが、精神面の変化(特に甘え)を29%程度示した。ここ数年手術患者が減少し、鎮静下の画像診断が急増し麻酔科医への対応を要請されているが不可能なのが現状である。「日帰り麻酔研究会」の発足や成人での外来手術の報道の増加など情勢は変化しつつある、当院の現状と北米の報告を比較しながら検討を進めたい。
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