精神分裂病患者の周術期の心・循環系の不安定性の原因を検討するため,分裂病患者19例,正常手術患者8例を対象にして手術当日の朝6時(前値),麻酔開始15分後,手術開始15分後および手術翌日朝6時に採血し高速液体クロマトグラフィー法で血中遊離型カテコラミン値を測定した。麻酔は笑気-酸素-エンフルレンおよびベクロニウムで行った。ドパミンは全例測定感度以下であった。アドレナリンは対照群では手術開始15分後,翌朝6時の測定で前値に比して有意に上昇した。精神分裂病では手術・麻酔の負荷によっても上昇せず前値と変わりがなかった。これら2群間の比較では手術開始15分後の値で対照群のほうが高かった。ノルアドレナリンは対照群では手術翌朝の値が前値に比して有意に上昇したが分裂病では有意の上昇は認めなかった。抗精神病薬長期服用者では麻酔・手術などのストレスに際してカテコラミンの上昇率が少なく,これが術中・術後の低血圧や循環系の不安定に結びつく可能性がある。